山本五十六 (上巻) (新潮文庫)

山本五十六 (上巻) (新潮文庫)

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新潮社
価格: ¥700

山本五十六 (上巻) (新潮文庫)のレビュー

戦前再考もよい
定番の、五十六本。
上巻は、開戦直前までの話である。
駐米海外武官、ロンドン軍縮会議での逸話、
海軍次官時代、3国同盟締結に猛反対し、
命を狙われる話など、とても興味深い。
山本の攻め一本の性格や、とことんまでやるという性格
などの人間性も面白い。
また、新聞記者などへの情報の与え方など、
メディア操作をきちんと理解していたのか、と感心する。
歴史にifはないけれど、
連合艦隊司令長官でなく、政治の舞台を与えることができたら、
全く違った世界ができていたのでは、と思えてしまう。
「男の修行」や「・・誉めてやらねば人は動かじ」
など、気になる名将です。
善玉海軍説の虚構本
確かに人間味あふれる記載、優れた特性を理解できますが、本当でしょうか?
各種の資料が公開された今となっては、この本は善玉海軍説を広めようとしたプロパガンダ小説に過ぎないと思います。
特に経営者とかでこの本を激賞している人が多いですが、冗談じゃない。
おとぎ話で真実を曲げるなと言いたいです。
山本は普通の国なら最低でも軍法会議で降等されるべき存在であり、英雄でもなんでもありません。
真実とは概して苦いものです。
黒澤版「虎虎虎」の原作です。
 黒澤明が執筆した「トラ・トラ・トラ!」準備稿の原作にあたる評伝です。山本五十六の人間くさい人物像は、だいたいこの本に記載されたエピソードからとられているようです。残念ながら完成した映画の五十六像に、その片鱗はほとんど残っていませんが・・・。上巻で描かれるロンドン軍縮会議で米英との戦争回避を訴えるあたりが特に面白い。近しい女性や友人たちに書き送った手紙の数々がユーモラスであったり何ともいえず人間的な魅力を感じさせる。ただ下巻の真珠湾攻撃、ミッドウェイ海戦と進むと五十六の人物像に精彩が無くなってくる。なにかすごく影が薄い。作者は、山本五十六を肯定的にとらえたいがために遠慮があるのか?開戦後は、実際は影が薄かったというのが実像だったのか?いずれにしても描き方に物足りない印象が残る。
海軍を美化し山本五十六伝説を作為した妄説
これほどの虚妄な小説は少ない。また、読んで面白いとも思わない。よくもまあ、これでもかというほどのでたらめな作り話が書けたものである。本は売れれば良いと言うものでもなかろう。
戦後において、海軍は平和志向的であり、英米友好的でもあったというような事実に反した説がまかり通るようになったのには、旧海軍の組織ぐるみの隠蔽工作とともに、阿川氏のこのでたらめ小説の功績が大である。阿川氏は海軍が利権や私利私欲から戦争拡大に動いた歴史的事実などは狡猾に省いている。太平洋戦争において大本営発表は、海軍が日本国民に対して、また陸軍に対しても、さらに畏れ多くも日本国天皇に対してすら、おのれの責任を永遠に闇に葬ろうとした騙しの組織ぐるみの大犯罪である。阿川氏はこの事実をどう説明するのか。

山本五十六が世間に対し、指導性優れた高潔の大胆な戦略家であったかような印象を与えているのは早急に正さなければならない。臆病な山本五十六は、戦闘地域の前線に出ることは一度としてなかった卑怯者である。冷房の効いた安全地帯の戦艦の中で冷えたマンゴー数個も食べながら、将棋やゲームに打ち興じ、またこれから国家の運命を左右するような決戦を前にして、自分の愛人を戦艦に呼び寄せたりした。こうした行為は古来から武運を遠ざけるもの考えられてきた。山本五十六とは日本の勝利のことなど一度たりとも思考したことのない、完全に劣化した頭脳しか持ち合わせない歴史上稀に見るおぞましい人物である。
端的に言って、山本五十六がわれわれ日本国の子孫が模範とすべき指導者であることは決してないのである。それどころか、山本五十六はオーム真理教麻原教祖とよく似た性質を持った病理研究対象の人物以外の何ものでもない。
人格破綻者の敗軍の将をここまで讃えるのは常軌を逸していると言わざるを得ない。

山本五十六の大罪―連合艦隊司令長官 亡国の帝国海軍と太平洋戦争の真像
米内光政と山本五十六は愚将だった―「海軍善玉論」の虚妄を糺す
名作
価値観を押し付けることなく山本五十六の人生・彼の周辺を丁寧に、精密に描いた名著である。長岡時代の山本についてのエピソードももっとほしかったが、それを補って余りある詳細さが光る。

山本を「将」としか見ない人間が多いが、「人間」として「官」として見てほしい。彼の業績を戦場での指揮だけで決定してしまうのは早計だと思う。航空機に着目した背景、非戦を提唱していた国際感覚を本作で垣間見てほしい。
ちなみに、本書では山本の女性関係や好物までわかる。